読書メモ 天外伺朗,実存的変容,内外出版社,2019 その1

読書メモ

巻頭言1 嘉村賢州「F.ラルー,ティール組織,英治出版,2018」解説者
ティール組織の実践のポイント
1「10社あれば10社違う組織形態と発展プロセスとなる」
2「一時期現れるカオスを乗り越え別次元のクオリティを目指す」
3「組織の進化は旅は経営者の変容の旅から始まる」

ティール組織への旅を始める時には、まず経営者が自身について半年から1年の内省プロセスを歩むのが大事だ」(F.ラルーの映像中でのコメント)
しかし、自分が変わるための内省の方法論は前掲「ティール組織」には記述が多くない。


巻頭言3 由佐美加子
集合的な「実存的変容」が急務
「あらゆる現実の根本的な変化は人の意識の変化からしかおこり得ない」

エゴとは、自己生存のために環境を最適化しようとする機能、生命維持のためであり、大切な機能である。エゴは死を恐れる。また、自分と同一化したもの「家族、会社、国など)を痛みや死から守ろうと怖れに駆り立てられて機能する。これまでの人間社会を牽引してきたもの。
エゴとは反対の「全体性の意識」つまり「愛」も、本来人間は持っている。

エゴと愛の幅の中で、意識は進化していくもの。エゴか愛かではなくて、両方が1人の人間の意識の中で統合されていくことが「進化」と仮説することができるのではないか?

生命体的組織ティールは、その進化に適合したものと言えるのではないか。
現状の組織がティール型組織に変化していくには「個人の意識変容が必要である。」
天外氏のこれまでの実践はまさに個人の意識変容を、自らの人生をかけて研究し続けてきた実積である。

まえがき
仮説
はるかに長い時間をかけた人類の意識の進化・発達と、ひとりの人間が生まれてから死ぬまでの意識の成長・発達は、全く同じ段階構造をたどる。(ケン・ウィルバー、クレア・グレイブス「スパイラル・ダイナミクス」、フレデリック・ラルー、ジャン・ピアジェ

個人の(意識の進化の)段階構造がわかれば、社会の段階構造もわかる、と言える。
例えば企業経営でも、戦後直後の「家父長型大家族主義経営」から「人間性尊重型大家族経営」にシフトしてきている。これは、人々の意識が「依存」を脱却して「独立した自我の獲得」に前進したことを示している。

ティール組織」の原題は以下。
Title  Reinventing Organization 組織の再発明
Subtitle A guide to Creating Organizations Inspired by the Next Stages of Human Consciousness 人類の次の段階の意識レベルにインスパイアされた組織創造のためのガイド

next stages of human consciousness とは、
「分離から統合へ」や「悟り」とラベリングされるが、実際は、「悟り(究竟涅槃)よりも「小悟」「見性」に近いもの。
本書では「目覚め」と表現。
つまり、「実存的変容」を経験した後の意識状態のこと。

本書の構成の紹介
1章 「ティール組織」から個人の実存的変容に関する記述を抜き出し解説2章 天外塾と実存的変容のこと
3章 深層心理学で読み解く実存的変容
4章 実存的変容のプロセス
5章 天外氏の体験したソニーティール型組織論で分析する
6章 天外塾における実存的変容を支援する取組みの実際
7章 メンタルモデルとタイプ別の瞑想法の紹介
8章 実存的変容を経た人々の特徴、ティール時代への変化
9章 明け渡しと宇宙の流れにのるということ